これはうちの弟から聞いた話なんだけど
※Kindle版のみの販売です※34ページ/400円
彼の中で『いつものこと』になっているそれらの話は、普段の生活の中で、「そういえばさぁ……」と、世間話のように唐突に語られる―― 筆者が弟から聞いた「こわい話」を集めた短編集。何割かは、実話です。
↓↓↓試し読み↓↓↓
このあいだ、俺が仕事中によく通る道で、コンビニのトイレ借りたのね。そこはいつもこんでいるんだけど、その日はたまたまトイレが空いていて。ラッキーと思って入ったんだ。
ほっとして用を足していたら
「トントン」
ドアをノックされて。なんだよカギのとこ見れば使用中ってわかるじゃん、ってちょっとムッとしながらノックし返した。で、用を足し終えて流して……ってやっていたら、また
「トントン」
って。さすがにムカついたから無視したんだよね。もう出るところだったし。そしたら
「トントン」
「トントン」
って、続くの。
「トントン」
「トントン」
「トントン」
「トントン」
あまりにもずっとノックされるからさ、ちょっと頭に来て
「あ、すみません、もう出ます」
って外に向かって言いながら、ガラッて勢いつけて引き戸タイプのドアを開けたんだ。思いっきり横に引いて。これだけノックするんだから、よっぽどトイレに行きたいヤツだろう、きっとドアのまん前で待っているはずだ、文句言ってやろうと思って。
0コメント